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コラム【解説】縁側の塗装と補修方法について
ハウスメンテナンス
2023.09.19
こんにちは。
HookPekの福田です。
弊社は愛知県名古屋市瑞穂区で住宅のメンテナンスを行っております。
日本の家の特徴のひとつである縁側。
和風な家が減った現代でも、縁側のある家は多くあります。
最近では、アルミ製の素材が増えてきていますが、やはり木でつくられた縁側の方が趣深いなと感じます。
しかし、木材はどうしても雨風の影響でボロボロになり、メンテナンスが必要になります。
今回は縁側の木材がボロボロになってしまった、などの異常があった際の修理と、塗装などの日頃から行えるメンテナンスの方法を解説していきます。
縁側とは
まず、縁側でボロボロに傷みやすい箇所についてお伝えします。
各部位の名称
濡れ縁:縁側の床の部分。雨が降ると濡れるため濡れ縁と呼ばれる。
柱:縁側の地面から梁を支える部分。湿気の影響を受けやすい。
梁:柱から繋がり縁側の屋根を支える部分。太い木材が使われることが多い。
他にも細かい名称はありますが、雨や湿気の影響を受けやすくボロボロになりやすい3か所を挙げました。
縁側のメンテナンスをする際は、上記3点を特に注意すると良いでしょう。
縁側と木材の劣化
まず初めに、縁側で利用される木材がどのように腐食するのかについて詳しく見ていきましょう。
雨風の被害による劣化
木材は時間と共に雨風の影響を受けて劣化していきます。
劣化が進むと、腐食や日焼けなどで表面がボロボロになってしまうことがあります。
この段階では外観の問題だけでなく、木材の強度も低下してしまいます。
湿気と気温のよる劣化
湿気による劣化
木材は水分を吸収しやすく、湿度が高い環境下では腐食しやすくなります。
特に、木材が直接水や土に触れる場合や、水漏れなどによって常時湿っている場合に腐食が進行します。
気温による劣化
日本は特に、季節や朝晩の気温差が大きく、気温差のある環境では木材の劣化は進行しやすくなります。
空気中の水分を吸収ている木材ですが、高温時には木内の水分が蒸発、乾燥し、腐食の進行が加速します。
それによって木材が収縮し、割れたり、変形したりします。
その他の原因
菌類:木材腐朽菌などの菌類は木材の細胞を分解し、木材を弱く、ボロボロにします。
苔や藻類:木材の表面に生える苔や藻類も、時間とともに木材を劣化させます。
その他にもシロアリなども劣化の原因となります。
別記事で詳しく解説しておりますので、宜しければご一読ください。
縁側は上記の要因を引き起こしやすい環境にあるため、木材の劣化が進行しているというわけです。
木部の修理方法
次に劣化してしまった縁側の補修方法について解説します。
今回は弊社が実際に施工した事例を用いて説明します。
一宮のお客様からのご依頼で、縁側をキレイにしたいというお問合せを頂きました。
濡れ縁と言われる縁側の床部分が腐っており、柱も黒く変色していました。
縁側の修理とは少々手間がかかりますが、丁寧に行うことでとてもきれいになり、お家のイメージ自体を良くすることが出来ます。
下記の方法で縁側の修理を行いました。
濡れ縁の修理
1,縁側の腐っている濡れ縁部分をすべて撤去
縁側は湿気の影響も受けやすいため、どうしても木材が腐ってしまう箇所が出来てしまいます。
その場合は残念ながら修理の際に取り換えるしかありません。
縁側の表面は悪くなくても、よく見ると腐食している箇所もありました。
細かくチェックして木材ごと取り外しました。
2,除去した部分に新しい木材を取り付ける
縁側は人の目に触れる箇所ですので、修理で使う木材もそれなりのものを用意する必要がありました。
湿気と変形に強い栂(つが)を今回は選び、除去した部分と同じ長さに加工して取り付けました。
3、塗装する
新しい木材を取り付けた後、今後の腐食を防止するための塗装を行いました。
劣化は進行しますので、取り付けた新しい濡れ縁の木材だけでなく、既設の濡れ縁の木材も塗装します。
木材用で防カビ、防蟻効果のある塗料を塗装しました。
縁側は、見えない部分からも知らないうちに劣化するため、露出する部分はすべて塗装して保護しました。
蒸気は地面から上に向かってくるため、縁側の上部だけでなく、縁側の裏側も塗装します。
しっかりと木材に塗料を染み込ませるために、2回塗装しました。
柱と梁部分
柱と梁は太い木材を使用し、また保護剤を塗ってあることケースが多いため、濡れ縁のように木材の交換まですることは多くありません。
しかし、長年の劣化により、塗膜の消失や木材の変色が発生することが多いです。
今回のケースでも上記の劣化が見られたため洗浄と塗装による修理を行いました。
1,既存の塗膜を除去する
上述したように、縁側は湿気を含みやすいため、柱や梁などの交換が難しい部分は塗装されていることがあります。
塗膜が残っていると、後に洗浄を行う際の薬品や、塗料を弾いてしまうため、塗膜を除去する必要があります。
紙ヤスリなどを用いて既存の塗膜を丁寧に除去します。
紙ヤスリを使用する際には数種類のヤスリを使い分け、木材に余分なダメージを与えないように注意が必要です。
2,薬品を使って洗浄
塗膜の除去が完了したら、木材に付着した汚れを除去します。
縁側などの、外部に使用されている木材の汚れには、アク、シミ、ヤケなどがあります。
これら一つ一つの汚れを除去する際に、使用する薬剤は違うため、一つずつ洗剤を使い分けて汚れを浮かし、除去していきました。
3,ペーパーヤスリを使って再度木材表面を整える
洗剤を使った洗浄の後は、木材の表面が荒れて細かいトゲなどが立ち上がってしまいます。
ささくれ立った状態のまま塗装をしてしまうと、表面がチクチクした仕上がりになり、住んでいる方のストレスになってしまうので、再度紙ヤスリを使って表面を馴らします。
このひと手間を惜しまないことで、仕上がりが格段にきれいになります。
4,ウレタンクリアーを塗装
仕上げに防水効果のあるウレタンクリアーを塗装します。
塗装には、木材表面を雨風等から保護するのと、表面のささくれ発生を防ぐ役割があります。
複数回に分けて何度も塗り重ねることで、強い塗膜を形成します。
完成がこちら
DIYによる縁側の修理は可能?
DIYで縁側の修理は可能ですが、難しい点も多々あります。
理由を以下にまとめてみました。
木材の入手が難しい
縁側に使用する木材は、木材を専門で取り扱う建材店で購入する必要があり、ホームセンターなどで入手することが難しいものになります。
またそういった木材は、加工も必要となります。
見た目も重視される縁側ですので、こういった配慮が重要となります。
使用する薬品の取り扱いに注意が必要
木材を洗浄する薬品は、肌や目に触れることで、炎症や失明を引き起こしてしまう可能性のある、危険なものが多く、取り扱いには注意が必要となります。
表面の処理の手間が大きい
塗膜を除去するヤスリ掛けは、何度も行う必要があり、かなりの手間が掛ります。
また、やり方を誤ると、木材に余計なダメージを与えてしまう可能性もあるため、丁寧な作業が必要です。
場所によっては高所作業となり、かなりの労力がかかる
梁や柱の上部を作業する際には、脚立などを用いる必要があります。
転落のリスクだけでなく、薬品の飛散のリスクもあり、かなりの労力を必要とします。
上記の点を加味すると、DIYは可能ですが、専門的な技術と知識が必要となることを覚えておいてください。
記事を読んでいただければ作業は可能ですが、事故のないように十分注意してください。
縁側のメンテナンス
上述したように、劣化が進行してしまい、修理を行おうとするとかなりの労力が必要となります。
劣化してしまう前にできるメンテナンスが重要となります。
自分でできるメンテナンスについて解説していきます。
木部の塗装
縁側の木材の劣化を防ぐ最も基本的な方法は、木材保護剤を利用することです。
保護剤の塗装などを施すことで、劣化進行をある程度止めることが出来ますが、定期的に保護剤を塗装する必要があります。
保護剤には浸透性のオイルステインなどの腐食防止剤や、紫外線などから木材を守るウレタンクリアーなどがあります。
これにより、木材が湿気や虫害から保護され、腐食が遅くなります。
定期的な清掃
定期的な清掃は簡単に実践できるものです。
縁側は外部に接しているため、泥やホコリなどが付着しやすくなっています。
泥が付着したままにしておくと、湿気をためる原因につながるため、定期的に掃除をして、キレイに保っておきましょう。
良くあるのが、植木鉢や箱などを長期間置いていて、下に跡が残ってしまうことがあります。
清掃の際は忘れずに掃除し、定期的に置く場所を変えるなどの工夫をしましょう。
【予備知識】縁側のコンクリートの掃除方法は?
縁側のコンクリート部分は犬走りと呼ばれています。
こちらは時間の経過と共に黒くなっていきますが、原因は表面に汚れが付着、堆積してしまったことg考えられます。
デッキブラシなどで擦りながら洗浄をするとキレイになります。
また、高圧洗浄機を用いることで、簡単にキレイにすることが出来ます。
まとめ
縁側の木材が劣化してしまうことは、時には避けられないこともあります。
しかし、適切な予防策とメンテナンスを行うことで、その寿命を大幅に延ばすことが可能です。
これにより、縁側は美しさを保ち、家全体の美観を保つことが可能になります。
縁側の木材の腐食とその修理方法について詳しく解説しました。
このブログが、あなたの縁側メンテナンスの助けとなることを心より願っています。
いざという時には専門家の手を借りて修理を行いましょう
劣化が進行し、修理が必要になった際は、早めに専門家の手を借りましょう。
早い段階で処置をすることで、修理の範囲を少なくすることができ、工事費の負担も減らすことが出来ます。
縁側のお悩みはぜひ、名古屋の住宅メンテナンス店「株式会社HookPek」までご相談ください。
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